怒りが体を突き動かした。
怒りが体を突き動かした。
叫んでいた。
横に飛んで手斧を掴むと五体を躍らせ、国親の頭上に跳んだ。
体を前に回しながら頭を狙って手斧を振るった。
だが、届かなかった。
情けないほど動きが鈍い。
手斧の側面を大太刀で打たれ、肘にしびれが走る。
着地の際に左足の衝撃を和らげるために転がった。
手斧を握り直し、国親が下手から回してきた大太刀を跳ね返した。
火花が散った。
足の痛みと頭の疼きをこらえ、国親の懐に飛び込んで、腹をめがけて手斧を叩きこんだ。
かろうじて弾き返しはしたものの国親の動きも鈍い。
五尺を超える大太刀があだとなり、傷を負った腕が痛むのか、よろけながらあとすざった。ここぞとばかりに踏み込んで、手斧を振り抜いた。【生髮維他命】維他命補充品真的有助改善脫髮嗎? @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
今度こそ手ごたえがあった。
が、それは身を挺して主人を守ろうと割り込んできた男の左腕に与えたものだった。
それでも、男は叫びながら、右手一本で太刀を振り回してきた。
それを弾き、続いて打ち込んできた国親の大太刀を左にかわしざま、男の腰を手斧で打ち砕いた。
男は、体を二つに折って後方に吹き飛んだ。
雲が流れ、月が姿を現した。
三日月から弓張月へと満ちていく。
「良将。力で押し込め」
国親が、一人残った背の高い男に声をかけた。
男の衣は裂け、血がにじんでいる。
先ほどイダテンに太刀を振るってきた時に傷ついたようだ。
男は、あきらかに怯えていた。
まさか自分たちの方が追い込まれるとは思ってもみなかったのだろう。
それでも、主人の命令に従いイダテンと対峙する。
一方の国親は、余裕ありげに、にたりと笑った。
「手負いの姫を放っておいてよいのか? 急がぬと手遅れになるぞ」
はったりだ。
近づこうとした男は串刺しにした。
気を散らそうとしているのだ。
そう思いながらも、国親の自信ありげな表情に、姫を置いた崖下の窪みに目をやった。
それを待っていたように良将と呼ばれた男が太刀を振り下ろしてきた。
反応が遅れ、柄で受けた。
樫でなければ、柄ごと切り裂かれていたかもしれない。
逆に相手の太刀が曲がっていた。
だが、相手もひるまない。
背丈の差を利用して上から太刀を押し付けてきた。
足の痛みをこらえながら姫に目をやるが、月明りの届かない場所に置いたため姫の表情は読み取れない。
背を丸めている様子は苦しそうにも見える。
視線を戻すと、国親は男の背後に隠れていた。
思ったより深手を与えたのか。
ならば、右手から回り込み……。
そう思ったとたん、胸もとにぶら下がっていた鏡が耳障りな音をたてた。
同時に、肩に衝撃が走った。
見ると血に濡れた太刀が左肩に突き刺さっていた。
――避けられぬのも無理はない。
太刀は思いもよらぬところから伸びていた。
イダテンと鍔迫り合いをしている男の腹から突き出ていたのだ。
男の衣が見る間に血で染まっていく。
火の出るような疼痛が襲って来た。
倒れたら、そこで終わる。
力を失った男の胸を押しながら後ろに下がった。
こめかみに青筋を浮かべた国親が男の脇から、睨みつけてきた。
「浅かったか」
「……国親様」
男は、自分の腹から突き出たものが何であるかに気がついたようだ。
「まさか、鎧を脱げと、お……」
うつろな目で、後方に立つ国親を追おうとする。「待ち伏せするのに具足の音がしてはならぬ……ただ、こういった使い方もできると言うことよ」
国親が誇らしげに唇の端をあげた。
Komentarze