「三保野。私付きの侍女の中で
「三保野。私付きの侍女の中で、最も尾張の地形に詳しく、尚且つ足が速いのは誰じゃ?」
「何故急にそのようなことを?」
「少し頼みたい用があってな」
濃姫が答えると、三保野は視線を天に向け、適当な者を探り始めた。
「…そうでございますなぁ。では、お菜津(なつ)殿は如何でしょう?」
「お菜津か」
「小柄で身動きも素早く、元々織田方の腰元です故、尾張の地形にも詳しゅうございましょう」
三保野の人選に、濃姫も満足そうに頷く。【生髮維他命】維他命補充品真的有助改善脫髮嗎? @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
「では、お菜津を直ちにここへ呼ぶように」
「承知致しました」
「なるべく急いでたもれ。早ようせねば、殿の行方が分からなくなってしまう故」
「─ ?」
意味有り気に微笑む姫を見て、三保野は何やら嫌な予感がしていた。
一方 信長に濃姫の部屋から追い払われた土田御前は、末森城へは戻らず、未だに那古屋城の表御殿の一室にいた。
筆頭家老の林秀貞ほか数名の家臣たちが居並んでいる前を、土田御前は右往左往しながら、腹立たしげに唇を噛み締めている。
「おのれ信長殿。実の母であるわらわに対して、あのような讒言の数々を平然と浴びせてくるとは!
やはりあの者は大うつけじゃ。あのようなうつけ者に、この尾張を託すことなど断じて出来ぬっ」
土田御前は語尾に力を込めて叫ぶと、家臣らの先頭に出(い)でている秀貞の前に膝を折った。
「林殿。そなたからも信長殿に説いては下さりませぬか? 跡継ぎとなることを諦め、その座を信勝に譲るようにと」
「御前様…」
「あの信長殿が跡継ぎのままでは、わらわの心労も募る一方じゃ。
何とか信勝が跡継ぎになれるように、尽力してはくれませぬか?」
武骨そうな秀貞の顔に、土田御前は期待のこもった眼差しを注ぐ。
「確かに──。ここに居る我ら一同は、皆、このまま殿が織田家の家督を継がれることを危惧しておりまする。
出来るならば、家臣からの信頼も厚く、文武両道に優れた信勝様にお跡目を継いでもらいとうございます」
「ええ、ええ、左様でございましょうとも」
「なれど、殿のご廃嫡は大殿が頑なに拒んでおりまする。
殿ご本人が辞退なさらぬ上、大殿がご廃嫡を不承知とされている以上、その儀は罷り成りますまい」
秀貞は筆頭家老らしくピシャリと一蹴した。
「ですから、そこを何とかして欲しいと言うておるのではないか。そなたら重臣らが一丸となって声を上げれば──」
「そう思い、我々とて何度となく大殿をご説得申し上げましたが、信長様には“可能性がある”などと申されて、まるで聞く耳を持たれないのです」
「では何か!? 林殿は、織田家があのうつけのせいで滅びても良いと仰せか!?」
「無論そうは思うておりませぬ!思うてはおりませぬが……さすがにこればかりは…」
秀貞は難しそうな表情をして俯いた。
信勝を跡目に推したいのは山々だが、事はそう単純ではない。
うつけと罵られていようとも信長は織田家のれっきとした嫡男であり、品性はなくとも、武力胆力に関しては信勝よりもはるかに優れている。
傅役の政秀などは、信長の血筋や立場を主張して、彼の家督相続を切望し続けるであろうし、
信長に期待をかける大殿・信秀も、秀貞や権六の前で信長を信じると言った以上、そう易々と考えを改
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