多分文と幾松の影響も大きく受けて
入江の事はいないものとして赤禰は三津を部屋に連れて行った。無論入江もその後について行った。
『膝枕なんざ何年ぶりや……。』
最後誰にしてもらったかも覚えてない。寝る時に人の温もりを感じるのも久しい。目を閉じて物思いに深けていたのに,
「ねぇ何で片足なん?実際もう肩まで浸かっちょるんやろ?」
「なぁ,おってもいいけど黙っとれ。」
自室までついて来て,更には寝転がる自分と向かい合うように寝転んでいる入江を冷たい目で見た。
『入江ってこんな奴やったか?人が変わったような……。これも三津さんの影響か?』
赤禰は苦笑いで入江を見ている三津を見上げた。そこへ廊下を物凄い勢いで走る音がした。誰だ騒々しいと三人が障子の方へ目を向けるとその足音はこの部屋の前で止まった。
『まさか……。』
三人ともが同じ人物を思い浮かべた。
寝転んで寛いでいた二人は身の危険を感じて瞬時に体を起こして胡座をかいた。
『凄い危機察知能力……。』
三津が俊敏さに感心していると予想通りの声がした。
「三津はここか!」
豪快に障子を開いたのは桂だった。
「どうしたんですか?そんなに慌てて。」
急用ですか?と首を傾けると桂はずかすか中に踏み込んで三津の正面に腰を据えた。
「少し時間が空いたから会いに来たら文ちゃんが赤禰君の部屋に居ると言うから心配で。」
真顔で何もされてないかと聞いてくるから苦笑いで大丈夫と答えておいた。膝枕してたなんて知れたら赤禰の首が飛びそうだ。
「小五郎さんが桶屋さんとこに戻られてから会う時間減りましたもんね。お忙しいのに来てくれはってありがとうございます。
でも心配せんでも大丈夫ですよ?武人さん一番まともですから。」
みんなが酒を飲ませて三津の本音を聞き出して以来,桂は大人しく寄宿先に戻った。三津の気持ちが離れてないと確認出来て納得した。
「まともな人間ほど箍が外れた時一番怖いんだ。でも何もないと言うなら安心だ。」
桂が微笑むから同じ様に微笑んでおいた。
「だが何故今日はここに居る?」
やっぱり細かい事を気にする男だ。それなりに納得する理由がなければねちねちと小言を言うに違いない。
「武人さんに奇兵隊の事を話してもらってました。私は小五郎さんに会いたい一心でこちらに押しかけたので皆さんの事を何も知らずに来てしまいました。」
『上手いこと言ったな。』
奇兵隊が理由なら赤禰の所に居てもおかしくない。それに桂を喜ばす言葉も盛り込んだ。
桂を手のひらで転がしてるなぁと赤禰と入江は感心した。
「小五郎さんも何かお話聞かせてくれますか?」
江戸で修行してた時の話が聞きたいなと笑顔でせがんだが,あちらでもさぞかし数多の女性に言い寄られたでしょうと嫌味を忘れなかった。
「いっ一応修行で行ってたからそんな事は……。」
「分かりやすく動揺しはりますね。正直に話してる方が楽ですよ?」
何したか言うてみ?とこの上ない笑顔で小首をかしげた。
「なっ……なんせ厳しい修行で……。話せば長くなるから今日は無理だなっ。顔を見れて良かった!また夜に!」
桂は引きつった笑顔で名残惜しいと言いながら逃げた。『修羅場潜り抜けた分力つけとるな……。』
多分文と幾松の影響も大きく受けてるんだろうなと赤禰は半目で三津を見た。絶対敵には回したくない。
「あんなんでも離れられんのやもんね?」
入江が別にやめとけとはもう言わないけど私はあれ以下?と笑った。
「以下と言うか……大差ないです。」
「女たらしと差がないのも腑に落ちん。」 顯赫植髮
私はあの人みたいに食い散らかしてないと少しむくれた顔をした。
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