は伊東甲子太郎と申す者です

は伊東甲子太郎と申す者です

は伊東甲子太郎と申す者です。どうぞ、これからよろしく頼みますね」

桜司郎は伊東から視線を逸らせないでいた。伊東はふと松原に抱えられ、目立つ桜司郎を見やる。すると、くすりと口角を上げた。

桜司郎はそれを認めるなり、顔を更に赤くして松原の腕を叩く。そして小声でこう抗議した。

「…忠さんッ。降ろして、降ろして」

「えー?何でや、挨拶はまだ始まったばかりやろ。遠慮せんでもええねんで。鈴さんは軽いから、ちいとも疲れへん」

そうじゃなくて、と言いつつ伊東の挨拶に耳を傾ける。

「昔、弟子だった藤堂君との御縁で、近藤局長のお話を伺う運びと相成りました。そこで、近藤局長の真心にいたく感じ入り、仮入隊を決めた次第です」

「…仮入隊なんだな」

山野は小さな声で馬越に話し掛けた。馬越は小さく頷く。

伊東は、実際の新撰組と信念が一致するか確かめてから入隊を決めたいとしていた。

「見えませんが、https://www.easycorp.com.hk/en/notary そう言ってますね」

「なかなかの色男だぜ?まあ、俺には敵わないけどな」

山野はフン、と鼻を鳴らすと再度伊東の方へ目を向けた。

次に伊東の横にいる男が怠そうに前に出る。黒目がちで鼻筋の通った美男子だった。何処か伊東に似ている。

と言う。よろしく頼む。伊東甲子太郎の実弟だ。…特に言うことは無いが…、そうだな。強いて言うなら酒に目が無いんで、京の美味い酒の店があれば教えてくれよ」

伊東とは正反対の性格なのか、それだけ言うとさっさと列に戻った。

三郎、と伊東は三木のことを肘で突く。三木は悪びれる様子も無く視線をふいと背けた。

やがて伊東道場の面々を始めとした、江戸からの新入隊士の挨拶が終了し解散となる。桜司郎は高い高いから開放されると、入隊の挨拶をしに行くべきかと近藤の姿を探した。

すると、近藤は土方や沖田と談笑していることに気付く。後が良いかと思い、そっと山野と馬越の元へ戻ろうとすると、ぐいと横から腕を掴まれた。

「痛…ッ」

「久方振りなのに、つれないな。鈴木桜花君?一番に私の元へ来て、労ってくれるかと思いましたが。あれだけじゃ身に染みなかったという事でしょうか」

あれと云うのは、平手打ちのことを指すのだろう。桜司郎は小さく息を吐き、心を落ち着かせると武田を真っ直ぐに見た。

「これは…気付かず。申し訳ございません。お疲れ様でした、武田先生」

殊勝にそう言えば、武田は気分を良くしたのか口角を上げる。

「そう…それで良いのですよ。私とて、何度も乱暴な真似はしたくありませんからねェ?」

桜司郎はにっこりと笑みを浮かべると、更に言葉を続けた。

「私…入隊したんです。なので、まずは一番に近藤局長に御挨拶差し上げるべきかと思い。御無礼をお許しくださいね」

その言葉に武田は目を見開いた。

そこへ駆け寄ってくるような足音が聞こえる。「あれ、武田さんだ。長旅お疲れ様でした。腕なんて掴んで…桜司郎君が何かしましたか?」

声につられて背後を見上げると、そこには沖田が立っていた。口調こそ柔らかいが、目が笑っていない。

「い、いや…。私の勘違いだったようだ。これは失礼した」

武田は掴んでいた腕を放すと、そそくさと去っていった。

沖田は桜司郎の前に立つと、それにそっと触れる。

「少し赤くなっていますね…。何を言われたんですか」

まるで宝物を触るように丁寧なそれに、桜司郎はくすぐったさを感じながらふわりと微笑んだ。

「労を、ねぎらいなさいと。私がまだ下働きだと思ってのことですよ。沖田先生、来て下さって有難うございます」

Komentarze

Dodaj komentarz
do góry więcej wersja klasyczna
Wiadomości (utwórz nową)
Brak nieprzeczytanych wiadomości