「さぁちゃんと説明して下さい!」
「さぁちゃんと説明して下さい!」
「てめぇに話す事はない。」
ピリピリとした空気のまま,二人の攻防戦は土方の自室に持ち込まれた。
「毎度っ!」
その空気を一掃するずば抜けて明るい声に一瞬面食らう。
「エラい長いお散歩でしたな土方副長。ほんでエラいご機嫌斜めで。」
さては何かやらかしましたね?と茶目っ気たっぷりに総司に笑いかけるが,総司にそれを冗談で交わす余裕はない。
「ほんなら副長の機嫌を直して差し上げましょ。」
恭しく頭を垂れてから,【生髮維他命】維他命補充品真的有助改善脫髮嗎? @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 :: 土方を見やる顔はニッと口の両端を持ち上げた。
「そりゃあ楽しみだ。そう言う事だ総司,今度こそ邪魔をしてくれるな。」『甘味屋に返したってあんな所に連れ込むんじゃ意味がないっ!!
ここを離れてる間は私達は関わらない方がいいのにっ!!』
苛立って眠れやしない。
総司は中庭で一人,竹刀を振るった。
「そんな殺気を漂わせては他の者が安心して眠れんだろうが。」
「このままじゃ私が眠れないんですっ!
放っておいてくれますか?斎藤さん。」
『案の定,面倒な奴め。』
廊下から声をかけた斎藤に総司は背を向けたまま振り返らない。
だけど斎藤も総司の扱い方には慣れている。
「何だアイツの乱れた姿を思い出したら頭が冴えて眠れないのか。」
「その言い方止めて下さい!三津さんが穢らわしいみたいでしょうっ!!」
総司は勢い良く振り返って斎藤に詰め寄った。
『気持ちがいいぐらい予想通りの動きをするな。』
「……ちょっと付き合って下さい。一人じゃ全然物足りないんです。」
「断る。さっさと体力を使い果たして倒れてしまえ。」
『何が楽しくて打ち込まれなきゃならんのだ。』
斎藤は相手にせず土方の部屋まで一直線に向かった。
背後では,再び竹刀が空を斬る音だけが響いた。
「斎藤です。只今戻りました。」
「おう,入れ。」
障子の向こうの土方は煙管を片手に,片肘を文机について不敵な笑みを浮かべていた。
『何だ,こっちは存外機嫌がいいぞ。』
もっと総司ともめて苛立ってると思ったがその予想は外れた。
「先程は取り込み中のところ失礼しました。」
ひとまず形だけ盆屋での騒動を詫びた。
期待した程の修羅場にならず残念だったが。
「構いやしねぇよ。用件は済んだ後だ。」
そうとは言いつつも,あのまま邪魔が入らなければどうなっていたかと,顎をさする。
「そうですか。
自暴自棄になってる奴が中庭におりましたが……。」
「放っておけ。明日の隊務に支障を出すようなら仕置きをするまでだ。
今のアイツに関われば面倒なだけだ,お前なら分かるだろ?」
そこは否定出来ない。寧ろ同感だと大きく頷いた。
「手間取らせたな。
それと,明日からはもうアイツに付かなくていいぞ。」
「……と言いますと?」
土方は含みのある笑みで煙管をくわえた。
もったいぶりながら,ゆっくりと煙を吐き出す。
「山崎から吉報だ。桂の潜伏先が分かった,お前はそこを張れ。」待ち望んでいた命令。嬉しいはずなのだが,斎藤は首を傾げた。
『何だか残念に思うのは何故だろうか。』
「では代わりは?」
「そこいらの暇隊士の一人や二人付けときゃ十分だろう。」
土方はそう言うけれど斎藤は素直に頷けない。
それじゃあ頼りない気がした。
「でしたら……。」
「だったら私がっ!!」
斎藤の言葉を遮って総司が飛び込んで来た。
土方の前に滑り込み,じっと目を合わせた。
「斎藤さんの代わりに私が付きます。付かせて下さいっ!!
桂が彷徨いてるのに,そこいらの隊士では安心出来ません。」
総司の真剣でいて,縋るような懇願の眼差しをしっかり見据えながら土方が出した答えは,
「却下。」
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